木は弱くない

レッドシダー、カナダ杉の実力 建築知識原稿

木材は専門の知識なしでむやみに使ってしまうと経年変化による腐れ、寸法の狂い、暴れなどあるためクレームを受けやすい材料の一つといえると思う.上手く使用するには職人の経験と長年培われた納まりの知識が必要でさらに”コツ”と呼ばれる謎の部分も多い.ビルはもちろんのこと小規模住宅においても木材が使用されていた部分は次第に工業製品やプラスティック製品に置き換えられ、一見きれいに見えるが味のない材料が住まいの中に充満している(しかも有害物質まで放出していた)のが現在日本の住宅事情といえるのではないだろうか.あくまで木材は自然材料のため一本として同じ性質、見かけのものはなく、そのことが均質無変化、無変質を最上のものと考える(すなわち顧客からのクレームを嫌う)ハウスメーカーなどにとっては使いにくい仕上材と考えられ、住宅の内装材からだんだん姿を消していった.更に木材というと檜、秋田杉など高級品としてのイメージが定着しており、木材=高価と考えてしまうのも敬遠される要因と考えられる.海に近い敷地でローコスト住宅の計画をしていたとき外壁にレッドシダーを使うことにした(長者ヶ崎の住宅).潮風にさらされて30年の年月を耐えてきたムーアのシーランチの外壁がレッドシダーだったことも大いに影響している.潮風に強く施工性が良くさらに安価である材料、という条件に合ったからである.また検討の結果外壁だけでなく防腐性、耐水性の求められる水周りでも十分に使用可能とわかりバスルームの内装にもつかうこととなった.この住宅は予算がきびしかったためタイル工事はいっさい省いており、乾式の工法で水周りを仕上げなければならなかったのも一つの理由であるが、木造や鉄骨の軸組は本来揺れ動くもので、タイルなど左官で仕上げた壁にはクラックの入る恐れがあるためでもある.木造とタイル壁は相性が悪いと考えている.縦張りでカナダ杉、本実加工品を使用したが小口からの水の吸い上げは考えられるので、バスタブ周辺の20cmほどのところにはセラミック板(フレキの表面をセラミック加工したもの)を張りシールを施し、その上部から張り上げている.新木場にある高広木材という輸入木材を扱っている材木問屋から教わったレッドシダー、日本では米杉とかカナダ杉とか呼ばれている木材を紹介してみたい.はじめて紹介してもらったときに高広木材の渡辺社長、渡辺専務が熱っぽく語られた話は木材に対する私のそれまでの考えをすっかり変えてしまった.柔らかく軽い材料であるが腐食しにくく値段も安い.日本の林業が壊滅的な産業となってしまった現在であるが、北米大陸の太平洋側、カナダ、アメリカでは農作物のような感覚でこれらの樹木を大量に計画的に生産している.全森林の年間生長量を予測の上、伐採する樹木量を決定し何十年というサイクルの中で植林から切り出しまで合理的に生産管理されているのだ.そのため供給量、市場価格共安定し日本に輸入されて来ているものも為替の変動による価格の変化はあるものの比較的安値で安定した商品となっている.北米大陸の木造住宅に多く使われるこれらの木材の多くは南京下見板、縁甲板などに加工されたうえ輸入される.ただしこの場合使う側も価値観の変更が必要となる.これら製品として出荷されている木材は様々な種類のものが混ざっており、赤みがかったものと白い木肌のもの、柾目と板目などが同じ梱包に入っておりそれらを選り好みしていくと結局は高価な材料となってしまうからだ.安価に木材を使用するには(といって薄っぺらな突板合板でなく)消費者を含め設計者も材のばらつきや違いに新しい価値基準を持たなくてはならない.本来製品の色、木目にばらつきのある自然材料の中から目や色のあったものを選りすぐる手間と無駄な材料費が単価を押し上げてしまうからだ.写真にあるように木地を表したクリアな仕上にするとその違いは顕著に現れる.これを新しい表現と考え、安く木材を内装材として使用することができるか?難しいのは設計者の意識改革はもちろん、クライアント(特に少々木に対して知識があり古い価値観を持っている人)にも理解してもらわなくてはならないことなのであるが.もっとも、気になる人は色の濃いステインを塗れば色違いは押さえることはできる.レッドシダー(ベイスギ、カナダスギ)はレッドウッドと名前が似ているがレッドシダーが檜科であるのに対しレッドウッドは杉科である.明治時代、すでに北米から輸入されているが当時でも高価であった秋田杉の代替材として使われ、杉に似ているためベイスギと呼ばれるようになったようである.ベイスギの性質であるがスギといっても檜の性質も併せ持ち、見た目や重さ比重など物理的な性質は杉に近いが、匂い耐候性は檜である.それはレッドシダーに含まれるヒノキチオール(ツヤプリシン)のためである.ヒノキチオールにより檜は防虫性、耐候性に優れている.レッドシダーはそのヒノキチオールを檜より多く含むため外壁、屋根に使われたり安価なデッキ材として屋外でも多く使われ、内装材として居間や寝室の壁面に使うだけでなく浴室など水周りの壁にも使える.柔らかく、比重の小さい材料であるため圧縮強度、釘の保持力が少なく表面に傷の付きやすい性質は日本の杉に似ている.

流通商品:南京下見板、ドイツ下見板、縁甲板、デッキ材など加工品の他、90×90mm、2×4,2×6,2×8など製品
:ウェアーハウザー  (旧マクミラン)社製カナダ杉取り扱い:高広木材(03-3521-6121)