今日本の開発援助に足りないもの

ネパール・カトマンドウの都市ガイド コラム原稿より

ネパールは結構地震も多く、レンガを積み上げた構造であること、レンガとレンガを固定しているモルタルの強度が低いことなどから壁の傾いている家、屋根の傾いている家など街中にごろごろしています。多くの歴史的建造物も同様で、今回見てまわった有名な王宮建築ですら修復の必要なものがたくさんありす。このような街並や建物を守ろうと各国の援助も盛んで、有名なものではバドガオンの王宮前広場とそこに建ついくつかの塔やチョク。ドイツが徹底的に修復して見せた街並は今やネパール一の観光名所でもあり映画のロケにも使われるほどの美しいものです。日本も日本工業大学の藤岡研が文部省の補助金と大学の特別研究費を使って調査団を送り、その後大学の努力でパタンに在る仏教僧院、イ・バハ・バヒの修復を行っています。その同じパタンでもマニ・ケシャル・ナラヤン・チョクがオーストリアの手で博物館・美術館としてきれいに再生されていて内部も見れます。ただ、一階の裏庭に面している柱を鉄骨に取り替え補強するなど木造建築の良さを、押しつけの西洋現代技術でやっつけてしまっているあたり、日本のほうが巧くやるのにな、などと思ってしまいます。中庭を通り抜け裏庭に出るとレストランがあり天気が良ければオープンエアーの食事が楽しめます。しかも美術館の中なのでネパールの喧騒とパワーに疲れた方にはおすすめ。話は道を外れてしまいましたが、皆さんもご存じのように日本は世界一の規模で開発途上国に援助金を出しています。97年度ODA一般会計予算は1兆1687億円にのぼり、国民一人あたり9350円にもなります.しかし、新聞や週刊誌などでもよく批判されているように、この膨大なお金はあまり効果的に使われていないようです.ネパールの東隣と言っても良いブータンでのODA不正支出事件があったことを覚えていらっしゃる方も多いと思います。ネパールではどうだか分かりませんが「いまの日本の開発援助に足りないもの」などとたいそうな見出しになったのは、ここパタンの美術館、マニ・ケシャル・ナラヤン・チョクのすぐ隣で遭遇したあることからいろいろと考えさせられたからです。ガイドによるとここのスンダリチョク、一般には公開していないが建築の取材に来たのなら見れるのではないか、とのことで許可を得にいったのですが断られてしまいました。理由は何と日本からの援助。日本からの援助がないからではなく、たくさんの援助はあるが結果がでておらず、お金は途中どこかで消えてしまっているらしい。どこでどうなっているのかは分かりませんがとにかく結果がでていないので日本人には見せられないと言う。そんなばかな。お金を出しているのは日本であることに違いないではないか。それとも聞き違い?なんど聞いても答えは同じ。納得のいかぬまま帰ったのですが、後日カトマンズの王宮を案内してもらっているときにも同じ理由で断られるにいたり日本の政府開発援助には誠意や好意がないのが一番の問題だと思うようになりました。考えてみれば誕生日に愛する人から(たとえ信じられないような金額でも)小切手をもらっても嬉しい人はいないはずです。無駄な金より愛情と思いやりのある一本のバラの花のほうが心に響くものです。日本も早く誠意のある手を差しのべ、真の意味で尊敬されるアジアでのリーダー国になっていきたいものです。 参考ブータンでのODA不正支出事件 91〜98年度まで60億円中約6億4000万円中国うなぎ養殖地造成事業に対する融資10億5000万円 回収不能